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着いていないのに「着いた」?~子供を伸ばす「間」抜けでないコミュニケーション~

2015/05/07

カテゴリ
指導ノウハウ
キーワード
コミュニケーション 子供 意味

目的地に着いていないのに「着いた」?

先日、家庭教師先に向かう電車の途中での出来事です。3歳くらいの女の子が、お母さんと一緒に向かい側の席に座っていました。その女の子は、電車が駅に着く度に、到着のアナウンスに元気を加えるかのように「着いた!」と言います。それに対しお母さんは、なだめようとしているのか、「まだだからね」とこちらも何度も同じことを言っています。

そこでふと考えがよぎりました。「いや、待てよ・・・。確かにこの電車は駅に着いている。もしや、この女の子は・・・」

女の子の言っている「着く」は、電車が駅に着くことの「着く」だったのです。その一方、お母さんが言っている「着く」は、お母さんと女の子が向かっている目的地に着くことの「着く」でした。女の子が何度も「着いた!」と言っている原因は、目的地に行くことも、「着く」という言葉を用いることができるということがわかっていなかったからなのでしょうだから、お母さんに「どうして違うの?」と言わんばかりに、あるいは、自分の「着いた」とお母さんの「着いた」の違いを確かめようとするばかりに、何度も同じ言葉を反復していたのではないでしょうか。

更に仮定すると、小さい子によく見られる言葉の反復が他の用法を求めている「質問」だとしたら、大人は、大人側の「着いた」の世界を一方的に押し付けるのではなく、女の子の「着いた」は合っていることを認めつつも、他の使い方があるんだよ、と紹介してあげるべきなのではなでしょう

あるいは、小さい子は大人である私達よりも記憶するという作業が苦手だということが関係しているのかもしれません。私たちは、普段よくメモを取りますが、これはアウトプットして媒体に留めておくことで、自分の記憶力に関わらず、その時の記憶を留めておけるようにするものです。女の子も私たちと同じように、「着いた」とアウトプットすることで、周囲の大人を媒体化し、大人たちからの反応を聞いて、あまり持続しない記憶に、なんとか留めようと何度も何度も繰り返していたのではないでしょうか。もし、媒体である大人達から何の反応も無ければ、私達の視点に置き換えて言えば、メモをとったはずの場所に何も残されておらず、誰かによってかき消されているように感じるのではないでしょうか。


「間」抜けなコミュニケーション

私たちの普段のコミュニケーションは非常に高度な、抽象度の高いレベルで行われています。これは他者同一視、つまり、私が相手の立場だとしたら、この言葉を求めているだろうと考え、言葉を発することです。

このお母さんは女の子に対して、「目的地に着く」ことを求めているのだろう、と周囲の大人と女の子の間に、その点では差異を見出さずにコミュニケーションを試みました。しかし、女の子から返ってきた反応は、全く同じ「着いた」でしたその結果仕方なくもう1度同じことを言います。そしてそれを繰り返しました。そのお母さんは「女の子がどうして同じことを何度も言っているのだろう」と疑問にすら思わなかったのです。女の子の「着いた」に間髪入れずに反応することだけに囚われてしまっていたのです

時代の流れがどんどん早くなっていると言われているこの世の中、手紙が携帯に、メールがLINEへといったように、私たちは応答する時間、「間」を入れずに反応することに囚われすぎてしまっています。知らず知らずのうちに時の流れに呑まれ、コミュニケーションが「間」抜けになってしまっているのではないでしょうか。

他者同一視をして間を入れずに人とコミュニケーションを取ることは、その主体からすれば、余計な思考を伴わずに済むため楽でしょう。しかし、それは場合によっては他者に対する理解を損ねかねないというリスクを孕んでいます

すぐ反応を返せる時代だからこそ、「この人の言った言葉は本当に自分の思っている言葉の意味通りだろうか」と思考を巡らせ、間を入れたコミュニケーションも忘れずに楽しみたいものです


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記事執筆:にわとり

教員養成系の大学生。教育は生きるための手段に過ぎないと考えています。

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