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【8/17~8/23】中学生→教員の暴力相次ぐ!警察の介入に議論

2014/08/27

カテゴリ
【週刊】教育関連ニュースまとめ
キーワード
暴力 教育ニュース 埼玉県 警察 中学生

8/17~8/23のニュースを一挙に解説!

2014年8月17日(日)から8月23日(土)にかけて報道された教育関連ニュースをご紹介しています。本記事では、生徒から教員への暴力事件をめぐる動きを取りあげました。


中学生→教員の暴力相次ぐ!警察の介入に議論 

概要

今年4~6月、埼玉県内の男子中学生6人が、教諭への暴行や傷害の容疑で同県警に相次いで逮捕されていたことが分かった。いずれも「胸ぐらをつかんだ」「胸を殴った」などで学校側が通報し、警察官らが現行犯で逮捕した。被害の程度が軽いケースでも学校への警察介入を進めるべきなのか、校内の問題は現場の責任で解決すべきか――。識者らの意見も割れている。
中2の息子がいる同県内の50代男性高校教諭は「暴力を目撃した他の生徒のショックは大きいし、自分の子が被害に遭わないか心配。警察の介入は仕方ない」としつつ、教諭の立場から「大人に暴力をふるうのはそれまでの不信感や不満が積み重なった結果。日ごろから生徒とコミュニケーションがとれる関係を作るべきだ」と話す。 
「夜回り先生」で知られる水谷修・花園大客員教授は「もう学校だけでは対応できなくなっている。教諭にゆとりはなく、礼儀などを含む全ての指導を求めるのは無理がある。子供を育てるのは社会全体の責任。学校が警察を含む各機関と連携しながら子供たちを良い方向に導こうとするのは、間違いではない」と理解を示す。
一方、教育評論家・尾木直樹さんは「生徒の評価権という絶対的権限を持つ教諭が、さらに警察権力を使うのは安易ではないか。学校の自殺行為でとんでもない話だ。背景には教諭の力量不足があり、他生徒への『見せしめ』の意味もあるのだろう。心の琴線に触れるような指導をせずに、生徒が更生するとは思えない」と厳しく批判している。(2014/8/19 毎日新聞)

中学生から教員への暴力事件が増えています。埼玉県では今年の4月から6月にかけて、6人の中学生が暴行や傷害の容疑で逮捕されています。なかには暴力の程度がそれほど重くないものもあり、教員が警察権力を行使することはいかがなものか、という議論が広がっています。

本記事ではこのニュースを題材に、①校内暴力、とくに対教師暴力をめぐる状況、②校内暴力への警察の介入の是非、について述べていきます。
 

校内暴力をめぐる状況

まずは、生徒・児童による暴力事件の発生形態をみてみましょう。以下は、小中高それぞれにおける暴力行為の形態別の発生件数の割合です。

(国立教育政策研究所「第6章 暴力行為」より)

これをみますと、小中高のいずれにおいても生徒間暴力の割合がもっとも高いことがわかります。今回のニュースで話題になっていた対教師暴力は、器物損壊に次ぐ割合となっています。

では、次に対教師暴力の発生件数の推移をみてみましょう。

(国立教育政策研究所「第6章 暴力行為」より)

平成8年と9年の間、および17年と18年の間で調査内容に変更があったため、各学校種における数の増減については厳密に言及することはできません。しかし、中学校における対教師暴力が、小学校や高校にくらべて多くなっているということがわかります。どの年度をみても、中学校における発生件数はほかの二者の4倍以上になっています。ただし、対教師暴力にかぎらず、中学校における暴力行為全体の発生件数がそもそも多いというデータもあることに注意が必要です。

では、こうした学校内で起こる暴力行為に、警察はどの程度介入しているのでしょうか。校内暴力事件の検挙・補導人数をみてみましょう。

(国立教育政策研究所「第6章 暴力行為」より)

これをみますと、校内暴力事件を警察が取り扱っている件数は、平成12年をさかいに一度減少傾向をたどった後、平成15年以降、徐々に増加してきているということがわかります。くわえて、いずれの年においても、中学生に対する検挙・補導がもっとも多くなっており、学校内での暴力事件に警察が関与するのは中学校に対する場合が多いといえます。

さらに、対教師暴力事件の検挙・補導人数はどうなっているのか。

(国立教育政策研究所「第6章 暴力行為」より)

ここではよりいっそう顕著な数字がみてとれます。まず、検挙・補導人数自体の傾向としては、さきほどの校内暴力事件全体のものとほぼ同じになっています。注目したいのはその学校種別割合です。対教師暴力事件で検挙・補導された者のほとんどは中学生となっています。平成20年では検挙・補導された647人のうち629人、97%が中学生となっており、これは校内暴力事件の検挙・補導人数におけるよりも高い割合になっています。これより、対教師暴力は中学校でより顕著に起こっている、という言明にはある程度の妥当性があるように思われます。

以上まとめると、

  1. 小中高における暴力行為全体における対教師暴力の割合は10~20%
  2. 対教師暴力行為の発生件数は中学校が多い
  3. 校内暴力事件における警察による検挙・補導は中学生に多い
  4. 対教師暴力事件における警察による検挙・補導ではいっそう中学生が多くなっている 

ということになります。
 

校内暴力への警察の介入の是非

引用記事の中では、校内の暴力事件において警察が介入することの是非が議論の的となっていました。教員にはゆとりがなく、暴力事件に対して学校だけで対応することがむずかしくなっておりやむを得ないという立場がある一方で、暴力事件の背景にあるのは教師の力量不足であり、それを警察権力の利用で片付けようとすることは許されない、という見解もあるようです。

こうした意見からは、この問題をめぐるいくつかの争点がみえてきます。

第1に、「子どもを教育するのはだれか」という問題です。子どもを教育することの責任の重きを、より学校・教員にあるものと考えるのであれば、子どもの暴力行為に対しても学校や教員がみずからの手で対処すべきであり、警察の手を借りるべきではない、ということになります。反対に、子どもの教育責任を学校の外部、すなわりここでは社会に置こうとするならば、子どもらの更生をはかるための処置として警察が学校に介入するのは正当であるといえるでしょう。だれが子どもを教育するのは、その責任はどこにあるのか、ここを明確にしていくことが重要でしょう。

第2に、「守るべきはだれか」という問題です。今回の引用記事では、起きている暴力事件が比較的軽度のものであり、暴行を受けた教員の命にかかわるようなものとはなっていません。したがって、それについて論じている人びとの意見からも、暴力を起こす子どもへの処置として、すなわち子どものために警察が介入すべきか否か、という視点が共有されているように思います。しかし、対教師暴力のすべてがそうした軽度のものであるわけではありません。少年犯罪の記録(*1)などをみると、些細なトラブルから教師が生徒からナイフで刺されたり、バットで殴られたりするケースも多くあり、命の危険にさらされることも多くあります。そうした危険を回避するため、すなわち教員という1人の人間のために警察が学校に介入する必要性が出てきます。

昨今では、他の生徒に暴力をふるう生徒に対して教員が介入できなかったことを問題視するニュースなどもあります(*2)。この背景には、教員による体罰に対して社会全体が非常に敏感になっており、教員自身が安易に手を出すことができなくなっているという事情があると考えられます。正当な理由があったとしても、教員が生徒に手をあげることは社会的に問題視されやすい。そのため、学校現場ではできるだけ早く警察の手を借りようという意識が広まっているのかもしれません。
 

参照

*1 「少年犯罪データベース 教師への暴力事件」など参照。

*2 「【6/29~7/5】いじめをかばう女児を暴行・・・教師その場にいたが制止できず」(教員ST)。


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記事執筆:やんべ

教員ステーションのプロジェクトスタッフです。
大学では社会科学を学んでいます。
教育にまつわる「不思議」について考え、書いています。

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