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鑑賞能力ってなんだろう?【美術館鑑賞教育を考える①】

2014/06/29

カテゴリ
実技教科最前線
キーワード
美術 鑑賞 社会科見学 総合的な 図画工作

 最近、美術館に行ったのはいつですか?

好きでよく行くという人もいれば、敷居が高くてなんだか良くわからないという人もいるのではないでしょうか。

小学校の図画工作科、中高生の美術の授業では、絵を描くなどの表現とともに、鑑賞の重要性が近年高まっています。例えば、平成20年度の学習指導要領の解説において、このような記述があります。

 鑑賞においては,よさや美しさを鑑賞する喜びを味わうようにするとともに,感じ取ったことや考えたことなどを自分の価値意識をもって批評し合うなどして,自分なりの意味や価値をつくりだしていくことができるように指導の充実を図る。また,鑑賞に充てる授業時数を十分確保するようにする(中学校学習指導要領解説 美術編 平成20年7月 より引用)

しかし、美術作品の「よさや美しさを鑑賞する喜びを味わう」というのは、個人のモチベーションや趣向などに左右される部分も多く、他の教科にはない難しさを持っていると思われます。

また、美術作品にふれるためには、学校だけでなく、美術館の教育的な取り組み、あるいは両者の連携が不可欠になってきます。

そこで、今回は、鑑賞教育の充実のための「鑑賞能力の発達段階理論」「ニューヨーク近代美術館(MoMA)の鑑賞教育」について紹介したいと思います。

 

「鑑賞能力の発達段階理論」とは?

1980年代後半から1990年代初めにかけて、マサチューセッツ美術大学のアビゲイル・ハウゼン氏が提唱し、美術の鑑賞者の発達段階と必要な指導方法を5段階で表したものです。

 第一段階「物語の段階」

特徴:作品をじっくり見ようとせず、全く別の自分の記憶や経験へ連想が飛躍する。年齢に関わらず、美術鑑賞経験の少ない人が該当する。

指導方法:まずは「物語を語らせ」て、その発言を肯定的に認めつつ、より普遍的な言葉に導いていく。

 第二段階「構造の段階」

特徴:作品に接する機会が増えるにつれ、美術に関する知識や情報を自主的に欲する。作品をよく観察するようになる。

指導方法:自分で学ぶための方法を求め始めるので、そのための資料や施設を用意する。

 第三段階「分類の段階」

特徴:体験と知識の蓄積に伴い、美術史上の分類などを重視するようになる。作品そのものを見るよりも、それにまつわる情報を得たり、語ったりすることに満足感を得る。

指導方法:専門的な教育による。

 第四段階「解釈の段階」

特徴:あらゆる知識を踏まえた上で、自分の感覚を加えて解釈を行える。

指導方法:専門的な教育による。

 第五段階「再創造の段階」

特徴:美術について熟知し、アーティストに敬意を払い、作品と対話するような深い思索ができるようになる。

指導方法:専門的な教育による。

 対話形式の鑑賞方法

以上の発達段階を踏まえると、美術館を訪れる人のほとんどが第一段階もしくは、第二段階にいることが分かります。そこで、児童・生徒を含めた鑑賞の初歩の段階にある人たちを鑑賞に導くために、ニューヨーク近代美術館は、知識の紹介だけでなく、鑑賞者自身が眼で見て、感じて、作品を読み解いていけるように、対話形式をとることにしました。

この方法は、とても単純な2つの質問から成り立ちます。

「作品の中になにがある?」「どうしてそう思ったの?」

ここから、作品との対話が始まるのです。

【まとめ】見る・感じる・考える

美術教育と言うと、デッサンをしたり、立体作品を作ったりというイメージがあるかもしれませんが、鑑賞も豊かな心を育み、世界を広げ、自分の表現にも影響する大切な要素です。

そして、学校だけでなく、美術館も作品と鑑賞の場所を持っていることにより、教育的役割を担っています。美術館と言うと、身構えてしまいがちですが、大人も子どもも同じように、作品をよく見て、何かを感じ、その理由を考えることが、鑑賞の最も重要な部分なのです。

 今回は、鑑賞能力の発達段階という理論的な側面を考えてきましたが、次回は、ワークショップやギャラリートーク、美術館と学校の連携の事例などを具体的に見ていきたいと思います。

参考文献

『美術鑑賞宣言』山本朝彦,仲野泰生,菅章 編著, 日本文教出版株式会社, 2003


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記事執筆:SUI KURATOMO

都内の大学に通う大学4年生です。
子どもが好きで、ボランティア活動を通して小学生や知的障がいを持つ子ども達と関わっています。
今の子供たちが考えていること、特別な手助けが必要な子どもたちのこと、教育実習のこと…
少しでも多くの方が素敵な先生になれるよう、有益な情報を発信していきたいと思います。 

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