オランダ発!21世紀を生き抜く力を身に付ける教育プログラム【ピースフルスクール】-教員採用試験対策/教師・教職の募集情報|教員ステーション

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オランダ発!21世紀を生き抜く力を身に付ける教育プログラム【ピースフルスクール】

2014/06/20

カテゴリ
教育関連団体インタビュー
キーワード
シチズンシップ教育 多様性 教育フェスタ オランダ プログラム 地域 社会 学校 家庭 市民 教育

はじめに

      「教育」について学んで語る2日間!        
〜教育の「多様性」と「可能性」〜   

これまでに全国で3,000人を超える方が参加している「教育フェスタ」。2014年、さらに充実した企画内容にパワーアップして開催されます!
今回の教育フェスタのテーマは、教育の「多様性」と「可能性」。公教育のみならず、多様な教育の実践に触れ、その可能性について学んでみませんか?そして、未来の教育について考えてみませんか?

 

オランダからやってきたシチズンシップ教育

今日、日本ではいじめ・非行・ニート・学校と社会とのギャップなどが社会問題として問題視されています。これらの問題を解決するために、日本でもシチズンシップ教育が注目されるようになってきました。シチズンシップは、日本では、「市民性」と訳されます。様々な問題が起きている中、市民社会でいかに振る舞うかといったことが、問われてきているのです。このシチズンシップ教育の中で、オランダで注目を集めているプログラムが日本上陸!その名も・・・

  • ピースフルスクールプログラム!

学校をひとつのコミュニティと捉え、先生と子どもが一緒に考え行動する、民主的な共同体を実現することを願って開発された教育プログラムです。子どもたちが社会に出るために必要な力を学校教育で身につけ、世界の平和を担う人へと成長することを目指しています。

「ピースフルスクールプログラム」を日本に導入しているクマヒラセキュリティ財団の福嶋史さんにお話を伺うことができました。

 

ピースフルスクールプログラムとは・・・?

ピースフルスクールを一言で表すと、どのようなプログラムですか? 
一言で言うと、「21世紀を幸せに生き抜く力を具体的に身に付けるために、先生と子どもがいっしょに学ぶことのできる体系だったプログラム」です。 

グローバル化が進む今、私たちに求められる力はOECDが定義している通り世界中で共通していることもあり、 オランダや欧米に特化したものではありません。このプログラムの学びは、日本人にとっても必要だと考えています。


なぜ「ピースフルスクールプログラム」なんですか?
このプログラムは、問題に対しての解決策のとり方が大人が子どもを押さえつけるような対処療法的ではないんです。どれだけ法で規制したとしても、自分で振り返りができないと根本的な解決にはならないと開発者が考えて、このプログラムを作ったというのが面白いポイントだと思います。根本的な解決をはかるために子どもの心を育てて、自尊心とか共感力などを高め、内省することによって解決していきます

最初は対立を解決するというところから始まったプログラムだったんです。でも、対立を解決するには相手の感情を理解しなきゃいけないし、相手の感情を理解するためには自分の感情も認識しなきゃいけない。回避するのではなく話し合って解決していかなければ安心安全なコミュニティは作れないんですよね。 

また、ピースフルスクールは学校から発祥したプログラムなんですが、家庭や地域社会にも影響を与えます。子どもが学校で学んできたことが家庭や地域社会にもれていっちゃうんですね。でも、マイナスの効果もあって、たとえば道端で大人が口論していたりしたら、そこで子どもは本音と建前があるんだと思ってしまったり、大人に対する信頼感が薄れてしまったりすることもあるかもしれません。そこでユトレヒト市では市全体で、おじいちゃんもおばあちゃんも、警察官も主婦もみんなで学んで、同じフィロソフィーを大事にしていこうとしてるんですね。地域社会や家庭で一緒に取り組んでいくことでもっとパワフルになると思います。

 

ピースフルスクールを現場で実践していくうえで、教員に求めているものはありますか?
このプログラムはそもそも先生に実践してほしいものなんですね。私も実際に学校現場でも授業をしたりしますが、やはり、毎日子どもたちと一緒にいる先生には敵わないんです。信頼度も違うし、指導する機会も多いのでやっぱり先生にやってほしいです。ただ、建前と本音が違っては意味がないので、普段の関わり合いでいかにこの世界を体現できるかというところがポイントなんですね。まずは先生にこの世界を理解していただいて体現してほしいです。

具体的には、いじめが起きた時にもすぐに介入するのではなくて、まずは「やめてって伝えた?」と確認してみて、もしひとりで言えそうになかったら「じゃあ次は友達と一緒に言ってみましょう」というように、ステップを踏みながら子ども間での解決を促す感じですね。

なかなか言い出せないタイプの子が相談してきてくれた時には「よく相談してくれたね」と、まず一歩できたところをを認めて、尊重します。(オランダの先生は)子どもたちとつかず離れず、上下ではなく完全にフラットでもない、権威はあるけれど権力として振りかざすわけではない斜めの関係で関わっていて、先生が先生としてだけではなく人として存在しているというのを感じます。

先生もこのプログラムを通してかなり学べるんですね。子どもたちに教える役ではなくて、いっしょに学んでいってほしいなと思います。逆に言えば、その意識さえ持っていただけたらピースフルスクールプログラムでなくでもいいと、私は思っています。


日本で導入するためにはどうしたらいいと思いますか?
大前提として、このプログラムはオランダに特化しているわけではなくて、日本人に合わないということもなく、日本でも十分展開の余地があると考えています。ただ、日本での展開が難しいなぁと思うのは・・・オランダには学校設立の自由、学校のプログラム選択の自由、学校選択の自由などの教育の自由が担保されているんですね。

例えば、ある学校でイエナプランを実施しているからといって、ピースフルスクールを否定しているわけではなくて、好みの問題なんです。むしろ、いいところは積極的に取り入れていこう!というような風潮があります。でもそういうカルチャーが日本にはあまりないですし、柔軟性もオランダに比べると低いように感じます。それが壁になっている気はしますが、日本も変わりつつあるのでこれからに期待ですね!

 

日本とオランダとの違いはなんだと思いますか?
オランダにもいいところがあって、日本にも同じようにいいところがあります。お互いに足りないところもあります。ただ、日本とオランダでは子どもに対するかかわり方のマインドが決定的に違いますね。

日本では管理したり、いけないことをした子を罰したり、法規制したりといったような感じですよね。オランダの教育は、なにも最先端のことをやっているわけではなくて、すごく自然で、原点回帰してる感じなんです。社会を学校で体現しているということなんですね。社会では異年齢でいることがあたりまえだから異年齢でいるというように、ごくごく自然な形で子どもたちがどう学ぶのか、どのように成長していくかを大事に見ているなぁという印象です。

また、日本の教育体制は文部科学省を筆頭に教育委員会、各学校・・・と、縦の体制なんですよね。だから変革がしにくいし、文部省の理想が現場レベルで理解されづらいというのを感じます。対してオランダは横の教育体制なんです。国や地方公共団体、教育が目の行き届かない所を相互補完し合うような。また、オランダでは学校にある程度の裁量権があって、日本よりも柔軟性がある印象です。ただ、日本でもこのような相互補完の必要性に気付いている方もいるので、これから変わっていくかもしれないですね。

 

オランダでは障害を持った子どもたちへの特別対応などはありますか?
そもそも、「みんな違ってるよね」という前提に立っていて、 私も多様性の一部だという感じなのでそれによって排除するという感覚はないと思います。たとえば、幼児さんでは「うれしい」っていう感情はどんなとき?と いうレベルから始まるのですが、その子に合うレベルのレッスンがされているということで、障害を持った子どもたちに対しての特別対応というほどではないと思います。

ちょっと私も勉強してみます!

多様性の尊重が日本でも言われるようになってきましたが、(オランダでは)ここに私がいて「多様性を認めてあげるわ」ではなくて、自分も多様性の一環だよという感じなんですね。あなたも違うし、私もみんなとは違う。意見が違っても、宗教が違っても一緒にいてOKみたいな、大きな多様の一環なんだよというね。


日本の教育のいいところってどこだと思いますか?
ある程度の計算、読み書きができるなどの基礎学力があり、丁寧な対応ができていろいろな人と協力することができるというのは日本の良さなんだと思います。

いじめや不祥事が起きた時にそこだけを報道するのではなく、その後どういった対応をとったのかなどのネクストステップまで知ることができるといいのになと思います。 教育現場でのグッドプラクティスなど、もっと明るい面が報道されるといいんですけどね。

 

先生になろうとは思われなかったんですか?
思いましたよー!どちらかというと、いじめや不登校の問題に興味があって、行政というか公務員になっていじめ対策とかをしたいと思ってたんです。でも、調べていくうちに自分のしたいことが公務員になってできるわけではないと気づいて。今は外から学校を見ていて、「子どもたちの成長の一番近くにいる学校の先生はいいなぁ」と下唇をかみしめる思いです!



教員に社会人経験は重要だと思いますか?
結論から言うと、教員に社会人経験は必ずしも必要ではないと思っています。意図を持ってしっかり学べている人であれば、社会人経験も教育の現場で活かせると思うんですが、ただ仕事をこなしていただけであれば、いろんな勉強会に行こうとか、いろんな人と交流しようとか、社会の動向を学習している教育現場だけの教員のほうが素晴らしいと思います。自分次第、その人次第な気がします。

 

ピースフルスクールについてもっと知りたい!

どんなプログラムなの?

  • ①    子どもの自尊心と自制心を育て、他者への共感力を高めることで、対立を子ども自身で解決するコミュニケーション力を養います。

  • ②    いじめ問題に対して、被害者や加害者だけでなく、傍観者にならない力を身につけます。

  • ③    日々の生活でリフレクション(内省)を行うため、自分の行動や発言を省みて、より良い行動に繋げることが出来るようになります。

  • ④    子どもだけでなく、先生や保護者、地域の人々も学ぶことが出来ます。

  • ⑤    学校だけでなく、家庭や地域社会とのつながりに対しても良い影響を与えます。

 

学習目標・目指している世界

  • ①    建設的に議論して意思決定する
  • ②    コンフリクト(対立)を自分で解決する
  • ③    社会の一員としての責任感を持つ
  • ④    他者を思いやり、多様性を尊重する
  • ⑤    社会の仕組みの中での自分の役割を知る

 

ベースとなる力

  • ①    自尊心
  • ②    自制心
  • ③    共感力
  • ④    リフレクション(内省)力

これだけを見ても、ピースフルスクールプログラムが今の日本での様々な問題に正対して解決に近づけることのできるプログラムであることがわかると思います。



ところで、写真の中で福嶋さんがずっと胸に抱えている地球が気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。ピースフルスクールの幼児・小学校低学年向けのレッスンでは、トラとサルのパペットを使った劇を通して学習します。地球のボールは、発言する子どもが手に持つことで、誰が話しているのかを明らかにします。また、みんなの前で話すことが苦手な子どもも、このボールを抱えることでリラックスできるという効果もあります。

今回の記事ではピースフルスクールの具体的な部分まで詳しくお伝えすることはできませんでしたが、2014年6月28日に開催されるALL関東教育フェスタ2014夏では福嶋さんのお話を直接聞くことができます。ピースフルスクールについてもっと知りたい!と思われた方はぜひ足を運んでみてください!

 

おわりに

インタビューは1時間の予定でしたが、2時間にも及びました。しかし、時間の長さを全く感じさせないとても有意義な時間で、なによりも明るくポジティブな福嶋さんに、私が元気づけられました!!

「ピースフルスクールは「願い」を大切にするプログラムです。」と福嶋さんはおっしゃっていました。そしてプログラムは今もなお、進化し続けています。明るい福嶋さんを体現したかのようなこの「ピースフルスクールプログラム」の動向から今後も目が離せません!

記事執筆:恵田翔平(明治学院大学)

参考

ピースフルスクールプログラム

福嶋史さんも分科会ゲストで参加されます!

【日時】2014年6月28日(土)/29日(日)
【場所】国立オリンピック記念青少年総合センター
(小田急線 参宮橋駅徒歩5分)
 
【主催】ALL教育フェスタ実行委員会

◆基調講演
国際バカロレア機構アジア太平洋地区理事/東京インターナショナルスクール代表 坪谷ニュウエル郁子さん
 
◆分科会1
・「反転授業」(株)ハンテンシャ代表取締役社長 加藤大さん
・「edutech」 アオイゼミ代表 石井貴基さん
・「インクルーシブ教育」 筑波大学大学院/株式会社LITALICO 野口晃菜さん
 
◆分科会2
・「オルタナティブな学校」 東京サドベリースクール 杉山まさるさん
・「海外の先進教育」Peaceful School 福嶋史さん
・「注目の私立学校」 関東第一高校 横山北斗さん
  
◆分科会3
・「国際バカロレア」坪谷ニュウエル郁子さん
・「先駆的な授業」 東京都立保谷高等学校 鍋田修身さ
・「教育系スタートアップ企業」 a.school 校長 岩田拓真さん/ manabiai school 代表 杉山史哲さん 

 

その他の分科会ゲストインタビュー!

 ALL関西教育フェスタ2014夏の分科会ゲスト
 【インターナショナルスクール「神戸ドイツ学院・ヨーロピアンスクール」のホワイト宏子さん】

 公教育の常識を覆す「国際バカロレア」とは?神戸ドイツ学院ヨーロピアンスクールを直撃①
【立命館宇治高等学校教諭仲田毅先生インタビュー】
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