障害が「ある」のか、障害を「持つ」のか。【表記のちがいを考える】-教員採用試験対策/教師・教職の募集情報|教員ステーション

教員ステーショントップコラム日本の教育障害が「ある」のか、障害を「持つ」のか。【表記のちがいを考える】

障害が「ある」のか、障害を「持つ」のか。【表記のちがいを考える】

2013/11/15

カテゴリ
日本の教育
キーワード
障害 表記 論作文 小論文

はじめに

まずは問題です。

  • どちらの表記が正しいでしょう。
  • ① 障害がある
  • ② 障害を持つ
  • ③ どちらも正しい


※「障害」という表記については、障害?障碍?障がい?――意外!どれが本当は正しいの?で解説しています。
 

正解は…

 平成6年以降、毎年政府が国会に提出している『障害者白書』をみると、障害が「ある」という表記が使われていることがわかります。

 また、新聞・通信社、放送局では「差別語」「差別を助長する語」「不快語」のガイドラインを独自に設けています。その中で、それらの語に対する具体的な対応を公表しているものとして、共同通信社 (2008) の『記者ハンドブック 第 11 版』を見てみると、以下のように書かれています。

 性別、職業、身分、地位、境遇、信条、人種、民族、地域、心身の状態、病気、身体的な特徴などについて差別の観念を表す言葉、言い回しは当事者にとって重大な侮辱、精神的な苦痛、あるいは差別、いじめにつながるので使用しない。

  例えば「障害を持つ(人・子ども)という表現も、障害のある人が自分から障害を持ったわけではないので「障害の(が)ある ( 人・子ども )」と表現する配慮が必要だ。

 

 以上のことをふまえると、明確な規定があるわけではありませんが、障害を「持つ」よりも、障害が「ある」という表記を使うほうが望ましいと考えるケースが多いようです。

 

動作か、状態か

 ここで、今回の表記のちがいを読み解くポイントの1つとして、「ある」と「持つ」のニュアンスのちがい、すなわち障害は”動作なのか、”状態”なのかということ考えます。

 みなさんは中学校1年生の英語で習う「現在進行形」で、こんなことを教わったのを覚えていますか? 

  •    I am studying English.(私は英語を勉強しています。)
  •   ×  I am knowing him.   (私は彼を知っています。)
  •  動作を表わす単語、すなわち動詞には「動作動詞」「状態動詞」の2種類があり、現在進行形の文が作れるのは「動作動詞」のときだけである。

 

 この、「動作」と「状態」をどのように見分けるのか。筆者は次のように習いました。

  •  「「動作」は直後に止められるけど、「状態」は止められない。」

 

 自分の意思で障害を持ったわけではないし、自分の意思でそれを止めることはできない。それならば、障害が「ある」というように、動作のように表現されることには何となく、あるいははっきりと違和感を感じる。
 このような、何気なく使っている言葉のもつニュアンスに対する小さな気付きから、今回の表記のちがいが生まれたのではないでしょうか。

 なお、「障害」はもちろん、「子供」という表記についても、議論が繰り返されています。教員採用試験で合否の分かれ目となる可能性もあるので、「障害」「障碍」「障がい」【表記のちがいを考える】「子供」か「子ども」か。【表記のちがいを考える】も併せてご確認ください。 
 

おわりに

 先ほど引用した『記者ハンドブック 第 11 版』には、以下のような文が続きます。

 「(差別語に対して)言い換えの例示をしているが、単純に言葉を言い換えればいいということではない。原則は「使われた側の立場になって考える」ことが肝要である。」
(カッコ内は筆者)

 

 表記のちがいに敏感な方もいれば、こんなことにこだわって何の意味があるの?という方もいるでしょう。もちろん、どちらのほうが正しいというわけではありません。しかし、このような表記のちがいに目を向けることが、「使われた側の立場になって考える」きっかけになればと思います。 

(参考)「不適切な」日本語表現考(岡本 佐智子)

 

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記事執筆:新井宏美

教室をすべての人にとって学びの空間にしたい!
そんな思いで教育学を学ぶ3年生です。
これからの「教育」を創りあげていくみなさんのお手伝いができれば幸いです。

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