「障害」「障碍」「障がい」【表記のちがいを考える】-教員採用試験対策/教師・教職の募集情報|教員ステーション

教員ステーショントップコラム日本の教育「障害」「障碍」「障がい」【表記のちがいを考える】

「障害」「障碍」「障がい」【表記のちがいを考える】

2013/09/15

カテゴリ
日本の教育
キーワード
障害 障碍 障がい 表記 論作文 小論文

はじめに

 みなさんは「しょうがい」と書くとき、「障害」「障碍」「障がい」のどの表記を使用していますか。更に、「障害(障碍・障がい)」は「ある」のでしょうか。「持つ」のでしょうか。

 これまで、一般的に「障害」という表記が多く用いられてきましたが、近年これを改めるべきとする意見が頻繁に挙がっています。では、なぜ「障害」という表記が定着したのか、なぜ表記を変えるべきなのか、それぞれの表記がもつ意味のちがいについて考えます。

 

「障害」と「障碍」の歴史

 「障害」という表記が使用されるようになったのは、遅くとも江戸時代末期とされています。一方で「障碍」は、もともと仏教用語であり、江戸時代までは「しょうげ」と読まれていたものの、平安時代末期以降「悪魔、怨霊などが邪魔すること。さわり。障害。」の意味で使われました。実は、「障碍」のほうが古くからあった表記なのです。(「障碍」が「しょうがい」と読まれるようになったのは、明治時代以降です。)

 大正時代にはいると、「障害」の表記が一般的になります。さらに戦後、「当用漢字表」(昭和21年)や、国語審議会による「法令用語改正例」(昭和29年等)が、当時の両表記の使用実態に基づき、「しょうがい」の表記については「障害」のみを採用しました。その結果、「障碍」という表記はほとんど使われなくなりました。

※当用漢字表…常用漢字表の前身
  国語審議会…文化審議会国語分化会の前身

 

「障害」は差別的?

「障害」について

 常用漢字表の「障」の使用例としては「障害」が載っています。また、内閣府では平成22年に行われた調査に基づき、「法令等における「障害」の表記については、当面、現状の「障害」を用いる」としています。

 「障害」の「害」を広辞苑でひいてみると、「そこなうこと。悪くすること。」とあります。また、「公害」「害悪」「害虫」という熟語に含まれることからも、「障害者」は他者を「害」する存在であるとみなすような表記である、ということが主な批判点として挙げられます。

 

「障碍」について

 一方で、「碍」は「さまたげる。じゃまをする。」(漢字源より)という意味を持ちます。そのため、「障碍者」と表記すれば、自分の中に何かさまたげとなる特性がある人を意味することができます。

 しかし、先ほど見た歴史をふまえると、古くから「障碍」には「障害」という意味も含まれていたので、区別するほど大きな差は見られないとも捉えられます。また、「碍」は使用頻度が低く、常用漢字表にも掲載されていないため、情報の分かりやすさ・通じやすさの点からも、この表記を使用する必要はないという意見もあります。

 

 「障がい」について

 さらに、漢字を使わない「障がい」という表記もあります。「害」「碍」のもつ負のイメージがわずかながら緩和されるということで、最近では使用される場面が増えてきました。一方で、言葉の意味があいまいになり、実体を見えにくくするという批判的な意見もあります。また、「子供」か「子ども」か。【表記のちがいを考える】でもご紹介した通り、文部科学省では交ぜ書きの廃止を理由に「子ども」ではなく「子供」という表記に統一するという見解を発表しました。これと同じ理由で、「障がい」という表記に対して反対する声もあります。

 最近では、乙武洋匡さんがTwitterでこのような問題提起をしています。あなたなら何と答えますか?

乙武 洋匡 @h_ototake  2013.02.07

 「障がい者」と表記するメディアの方々、またそれに違和感を持たない方へ質問です。なぜ、「害」はNGで、「障」はOKなのですか? 「障」だって、「差し障り」というマイナス要素を含む漢字だと思うのですが…。

  

結局どの表記にするべき?障がいは「ある」?「持つ」?

 現在のところ、「正しい表記」を断言することはできません。どの表記にも一長一短があり、書き手の立場や考え方が色濃く反映されるでしょう。ぜひこれを機に、障害(者)に関する自分の意見を改めて見直してみてください。

 教員採用試験を受験する際には、各自治体の見解も確認しましょう。たとえば、岩手県では「障がい」、神奈川県では「障害」を使用しています。

 また、障害に関わる表現については、違う議論もあります。詳しくは障害が「ある」のか、障害を「持つ」のか。【表記のちがいを考える】でご紹介しているので、ぜひご覧ください

  •  ☆教員ステーションでは執筆者それぞれの意見を尊重します。そのため、記事によって表記が異なることがあります。

 

おわりに

 わずかな表記のちがいによって、自分が思っている以上のメッセージを発してしまうこともあります。教育に携わる者として、なぜ今この表記を使うのか、少しだけ立ち止まって考えてみてください。

 また、いくら表記を改めたからといって、障害のある人を取り巻く差別や偏見などが取り除かれるわけではありません。言葉尻をとらえて互いに批判し合う、いたちごっこの議論に終始しないように気をつけたいものです。

(参考資料)

「障害」の表記に関する検討結果について(平成22年11月22日)  

教採を受けるなら、ほかの記事も今すぐチェック! 

教採受験は大変……忙しくなる前にしっかり稼ぎたい方へ!

 

教採を受けるなら、こちらの記事も必見!

● いつから始める?教員採用試験学習スケジュール
● 教員志望者のアルバイト事情は?教採を受けるなら、どんなバイトをすべき?
● 自己PRのポイントが分かる!教採に必須の教員適性診断! 
 

関連記事

「子供」か「子ども」か。【表記のちがいを考える】
障害が「ある」のか、障害を「持つ」のか。【表記のちがいを考える】

記事執筆:新井宏美

教室をすべての人にとって学びの空間にしたい!
そんな思いで教育学を学ぶ3年生です。
これからの「教育」を創りあげていくみなさんのお手伝いができれば幸いです。

コメント

キーワード

関連カテゴリの記事

新着記事

おすすめ記事

教員志望者はどんなアルバイトをすべき?オススメのバイトを4つご紹介!

教員志望者の中には、教職が遅い時間に入ってしまったり、課題が多かったりして、なかなかアルバイトをする時間がない、という方が多いのではな...

おすすめ書籍一覧はこちら

コンテンツ協力

教育の次代を創る 日本教育大学員大学

東京アカデミー

「障害」「障碍」「障がい」【表記のちがいを考える】-教員採用試験対策/教師・教職の募集情報|教員ステーションページ上部へ